明日のことまで思い悩むな                西澤 正文
                                         2016 静岡クリスマス講演会
 12月4日の当日の天気予報は、夕方から雨が降るとの予報であったが、朝から晴れ間が広がり、市内各所から真っ白な雪で覆われた富士山の姿が見られた。会場の清水駅東口(港口)の清水テルサ6階の会場からも富士山の姿にお目に掛かることができた。参加者はさいたま市から元運営委員の栗原兄、横浜市から現運営委員の清水姉も応援に駆けつけてくれた。参加者は33名であった。先ず、西澤が「明日のことまで思い悩むな」と題し、マタイによる福音書6章25-34節を基に講話をした。
▢聖書の中の位置
 この箇所は、「山上の説教」のちょうど真ん中に位置し、内容からも福音中の福音と言える。伝道を始めて間もなく、眼下にガリラヤ湖を見下ろせた小高い丘に登り、群衆を前に、また当時すでに弟子入りしたペトロ、アンデレ、ヤコブ、ヨハネの4人も群衆の最前列に座り熱心にお聞きしたであろう。説教が終わり、山を下りて間もなく、イエスは、12人の弟子を呼び寄せる記事が登場することから、他の8人もその場に居合わせたであろう。
▢概論
 今日の箇所の主題は「明日のことまで思い悩むな」(34節)である。信仰の薄い者たちよ! 飲食、衣服のことで、思い悩むな。天の父は、あなた方の必要なものをご存知である。だから先ず、神の国、神の義を求めよ、そうすれば、そのような日常生活で必要なものは、全て与えられる。苦労は、その日だけで十分だ。
 「何を食べようか、何を着ようか」は、弟子を意識して語られたという解釈もできる。この頃、イエスや弟子達は、福音の伝道を始めたばかりで、イエスは大工仕事、弟子たちは漁師の仕事を投げ出し、放浪の旅を始めた。弟子の中には明日の生活は、どうなるだろうか、食べ物はいただけるのだろうか、宿はあるのだろうか…内心不安を抱えていた。当時、村や町を巡回すれば、イエス達を迎え入れ、世話をしてくれる人々がいて、人を通して必要なものは提供された。神がそのような人を用意された、と考えることができる。 
▢あれこれ悩むな  
 我々は、何故、思い悩むのか? 心配は、心の中のモヤモヤから生ずる。突き詰めれば「コレコレが不安です」と他人に説明できる明確なものが無いことが多い。悩みは、それほど漠然としている。現代人は、多少の不安を抱えた状態が落ち着くのだろうか……。
▢結論
 「何よりもまず神の国・神の義を求めなさい」(33節)、これが結論である。生活の心配が先でなく、神への思いを先にしなさい、順番を変えなさい、ということである。先ず神を信頼して委ね、次に生活を考えなさい、自分の腹をのぞき込むことをストップしなさい、ということである。イエスの伝えたいことはこれに尽きる。できる・できないではなく、この信仰態度を何よりも大切にしなさいということである。
同章の19-24節には、神か冨かどちらか選ぶのか、はっきりした態度を採る大切さを、そして神を選ぶことの難しさを説く。
▢まとめとして
 私たちの人生の最終目標は、天国へ旅立つことである。今日の結論の「何よりもまず『神の国・神の義を求めなさい』」は、あなたの人生を天国におられる神を通して考えなさい、と言える。この世の富に熱くなったり、欲が出たりする時、「私たちの国籍は天にあります。」の意言葉を思い出し、天国を仰いで前進したいと思う。