詩編84編             2014.5.25

 

テーマ:主の庭を慕う喜び

 

1【指揮者によって。ギティトに合わせて。コラの子の詩。賛歌。】

 

コラの子とは、レビ人コラの氏族で主の神殿において門衛や歌うたいなどとして奉仕したといわれる。(歴代誌上9:19) 

2万軍の主よ、あなたのいますところは どれほど愛されていることでしょう。3主の庭を慕って、わたしの魂は絶え入りそうです。命の神に向かって、わたしの身も心も叫びます。4あなたの祭壇に、鳥は住みかを作り つばめは巣をかけて、雛を置いています。万軍の主、わたしの王、わたしの神よ。5いかに幸いなことでしょう あなたの家に住むことができるなら まして、あなたを賛美することができるなら。

 

全地を創造される主よ、なたの住まいを思い出すと、慕わしさ、恋しさのあまり、私の心も体も熱くなるばかりです。あなたの住まいや庭先に巣を作った鳥は自由に飛び交っています。命を育んでいます。鳥たちのようにあなたの住まいに住むことができるのなら、どんなに幸せなことでしょうか。

 

事情があり、家族や生まれ育った故郷を離れ、遠い地で家族、故郷を思い出すと、今まで以上に恋しさがこみ上げる。できるなら今すぐにでもその場に駆け付け一緒に住みたい思いが膨らむ。望郷の念は、離れてみてその大切さ、恋しさが改めて実感する。長い人生において、長期出張、単身赴任、長期入院等で、ひとり家を離れ、生まれ故郷を後にせざるを得なくなってみて、自分の今までの身、人生を振り返り、普段それほど感じていなかった家族、故郷、友人等しみじみ思い出すと、無情にその大切さ、恋しさが募る。

 

6いかに幸いなことでしょう あなたによって勇気を出し 心に広い道を見ている人は。7嘆きの谷を通るときも、そこを泉とするでしょう。雨も降り、祝福で覆ってくれるでしょう。8彼らはいよいよ力を増して進み ついに、シオンで神にまみえるでしょう。

 

あなたにより勇気が湧き、あなたの示された進むべき道がはっきりと示されたなら、たとえどんなに困難な谷‥‥水や食べ物が不足し厳しい環境に直面するようなことがあっても、あなたの御力、御業により、恵みに満ちた道に代わるでしょう。‥‥「しかし、わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」(ヨハネ4:14)そして道を進むわたしの足は、あなたの導きによりますます力を与えられ、ついにその足はイスラエルに踏み入れ、あなたに会いまみえることになるでしょう。

 

例え目の前に困難が待ち構えていようと、困難の先に困難以上の喜び、恵みがあると確信することができれば、それを目指して目の前の困難をあまり困難とも思わず、避けることなくその上を力強く進んでいくことができる。遠くにしっかりとした目標物を持てばその間の困難も困難と思わなくなる。目標のある者は勇ましく、まっすぐな一筋の道を迷うことなく、わき道にそれることなく目標に向かって生きることができる。

 

 9万軍の神、主よ、わたしの祈りを聞いてください。ヤコブの神よ、耳を傾けてください。10神よ、わたしたちが盾とする人を御覧になり あなたが油注がれた人を顧みてください。

 

全地を治められる神よ、今私の祈りに耳を傾けてください。私たちが住む地を治める支配者・王であり、あなたによりその資格を任命された王を見詰め、お守りください。「人は皆、上に立つ権威に従うべきです。神に由来しない権威はなく、今ある権威はすべて神によって立てられたものだからです。」(ロマ13:1) 

法治国(ルールにより共同社会を維持する組織)は、民による選ばれた指導者のリーダーシップの下で、民は日常生活を営む。共同生活する上でこの仕組みはなくてはならない。民の信託を受けたリーダーは、その任の重さを受け止め、ますます謙虚に多くの民の意見を聞き、全体の状況をつかむことが大切となる。そして何よりも、自分の力で民を導くという傲慢な独裁的思いを無くし、この大きな重い任務は、上から神から授かった使命、天命と受け止めることが大切。そのことにより常に謙遜に、冷静に、全体を見渡しながら民のために為すべきものが示される。常に神に祈り身を振り返ることが大切となる。

 

11あなたの庭で過ごす一日は千日にまさる恵みです。主に逆らう者の天幕で長らえるよりは わたしの神の家の門口に立っているのを選びます。 12主は太陽、盾。神は恵み、栄光。完全な道を歩く人に主は与え 良いものを拒もうとはなさいません。 13万軍の主よ、あなたに依り頼む人は いかに幸いなことでしょう。

 

あなたの住まわれる庭で過ごす1日は、あなたが不在のところで千日過ごすことより恵みが大きいのです。主が不在のところで長い年月を過ごすより、あなたの住まわれる門に立つレビ人に憧れます。あなたを慕い求めてあなたに通じる道を歩む者に、主は栄光、守り、恵みを豊かに差し出されます。

 

人生は単に時間の長い短いではない。如何に神の近くで過ごすかである。量より質により人生の価値が決まる。近年平均寿命が延び、長生きばかりに目が注がれる。しかし本当の幸せは、単なる長生きでなく、如何に神様の近くで信仰生活を送るか、その一点に人生の価値基準を設定したい。

 

まとめとして

 

人生の価値は単なる長生きではなく、その人の「人生の中で神がわたしに望まれたという思いをどれ程感じて生活したか」である。自然の中でのワンシーン、旅先、仕事帰り、散歩中‥、人の姿、会話の中、祈りの中で等々、神との出会い(臨在)の体験である。2011年亡くなられたアップル社操業したスティーブ・ジョブズ氏が生前、末期がんの身でありながら「ハングリーであれ。愚か者であれ。」(スタンフォード大学卒業式) 時間を大切に使って生きなさい、と学生にメッセージ送った。ひた向きに、謙虚に生きなさい、と。

 

神が臨み易い環境とは、少なくとも、静かな時、一人でいる時であろう。教会の建物でなく、教会の中の静けさである。神が目をかけ愛する弱い人、困っている人の近くである。このような環境の中で生活していきたいものである。