詩編73            2014.2.16

 

この73篇は、詩編150編ある内、第3巻の最初に位置する詩である。(第11-41編 第242-72編 第373-89編 第490-106編 第5107-150編)第373-89編の内、73-83編をアサフが編集したもので、このアサフは、ダビデに任命されたレビ人による聖歌隊の指導者である。(歴代誌6:161824

 

この詩のテーマは、「悪人が栄え、善人が虐げられる現実の中で、信者はどう生きたらよいのか」である。中心となる節は17節で、詩人は神の聖所に入る(神の御許を訪ねる)まで、なぜ義なる方が正しい者が困難に耐え、悪人が繁栄するのを許しているのを理解できず苦しんだ。しかし、いずれ公正な裁きが為される日が来ると知った時、神の知恵を認識した。

 

1-12 悪人が繁栄することの疑問

 

神はイスラエルに対して 心の清い人に対して、恵み深い。それなのにわたしは、あやうく足を滑らせ

一歩一歩を踏み誤りそうになっていた。 神に逆らう者の安泰を見て わたしは驕る者をうらやんだ。 死ぬま

で彼らは苦しみを知らず からだも肥えている。 だれにもある労苦すら彼らにはない。だれもがかかる病も

彼らには触れない。 傲慢は首飾りとなり 不法は衣となって彼らを包む。目は脂肪の中から見まわし 心

は悪だくみが溢れる。 彼らは侮り、災いをもたらそうと定め 高く構え、暴力を振るおうと定める。 口を天

に置き 舌は地を行く。(民がここに戻っても 水を見つけることはできないであろう。)そして彼らは言

う。「神が何を知っていようか。いと高き神にどのような知識があろうか。」見よ、これが神に逆らう者。

とこしえに安穏で、財をなしていく。

 

神は、イスラエルに対し、また心の清い人に対し、恵み深いということが分かっていながら私の現実の生活は、その言葉を忘れ、心が迷い悪人たちのような生活に染まってしまいそうであった。神を信じず、神に背を向け自分本位に生活する者たちが、何の不安もなく平安に生活する姿を見て羨ましく思った。その人たちは、この世を去るまで苦しみというものに無縁で、心配がないため体も健康に恵まれ、多くの人が経験する苦しみ、病気にも罹らず、平安な生活を送る。神と無縁な自由奔放な生活態度を首飾りのように見せびらかし、悪い行いにより身を守っている。彼らの社会を見る目は欲望に満ち、心は人をごまかすずる賢い作為で満ちている。また、人を馬鹿にし、被害を及ぼそうと社会的地位を利用し、権力を使ってそれを行おうとする。その人たちは言う、「神は何を知っていようか どんな知恵があるというのか」と。

 

13-20 神の御許での悟り

 

わたしは心を清く保ち 手を洗って潔白を示したが、むなしかった。 日ごと、わたしは病に打たれ 朝ごとに懲らしめを受ける。 「彼らのように語ろう」と望んだなら 見よ、あなたの子らの代を 裏切ることになっていたであろう。 わたしの目に労苦と映ることの意味を 知りたいと思い計り ついに、わたしは神の聖所を訪れ 彼らの行く末を見分けた

 

あなたが滑りやすい道を彼らに対して備え 彼らを迷いに落とされるのを 彼らを一瞬のうちに荒廃に落とし 災難によって滅ぼし尽くされるのを わが主よ、あなたが目覚め 眠りから覚めた人が夢を侮るように 彼らの偶像を侮られるのを。

 

私は今まで私なりに、心を清く保ちつつ生活をしてきた また常に悪から離れて生活しようと気を使いつつ

強いられるばかりである。いっそのこと、悪人たちのように自分本位のこと、欲を満たすこと、そのため自

分勝手のことを遠慮なく言おう。しかし、そのようにしたら、次世代の子供たちまで裏切ってしまうことに

なってしまう。そこで意を決し、思い切って神の御言葉を聞くため神の聖所を訪ねた。そこは、神の霊に包

まれ、神に背を向けて生活する人達の将来を示されたのだった。その者たちの道は、不安定で見通しのきか

ず、一瞬のうちに命を落とすみちであった。

 

21-28信頼を取り戻す

 

わたしは心が騒ぎ はらわたの裂ける思いがする。 わたしは愚かで知識がなく あなたに対して獣のように

ふるまっていた。 あなたがわたしの右の手を取ってくださるので 常にわたしは御もとにとどまることがで

きる。 あなたは御計らいに従ってわたしを導き 後には栄光のうちにわたしを取られるであろう。 地上であ

なたを愛していなければ 天で誰がわたしを助けてくれようか。 わしの肉もわたしの心も朽ちるであろうが

神はとこしえにわたしの心の岩 わたしに与えられた分。 見よ、あなたから遠ざかる者は滅びる。御もとか

ら迷い去る者をあなたは絶たれる。 わたしは、神に近くあることを幸いとし 主なる神に避けどころを置

く。わたしは御業をことごとく語り伝えよう。

 

今、冷静に振り返れば、私は怒りのあまり興奮し、心が落ち着かなかった。無知であなたに対して思慮が浅

く思いのままにふるまってきた。しかし、あなたは常に私を支え、守ってくださるため、いつもあなたのそ

ばで生活することが出きる。あなたはあなたの御計画により、将来あなたの栄光のうちにわたしを迎えてく

ださることでしょう。この日常生活で、あなたを愛することがなければ、天井において誰が私を覚え、助け

てくれるのか。地上と天上はいつも繋がっている。目には見えなくとも常に聖霊が行き交い、交流がなされ

る。いずれ私の肉体も滅びる時が来る。その時が来れば自ずと心も失せる。しかし、我が肉体、心が滅びよ

うとも、神は永遠に不滅です。永遠に私の拠り所であり、私に与えられた確固不動の持ち分、領土です。あ

なたから離れる者は必ず滅びる。あなたは離れ去る者を見逃すことなく滅ぼされる。私は常にあなたの近く

で生活し、そのことが喜びです。私は、あなたの正義、力強い御業の数々を多くの人たちに語り伝えていき

ます。

 

まとめとして、

 

(1)すべては神が支配する。ただ心清く誠実に日常生活を送ればよい。天に帰れば神の公平な裁きが待っている。

 

(2)アサフは、音楽に合わせ節をつけて歌う。私たちも、地上の生活を送るにはアサフに倣い賛美すること大切である。