マタイによる福音書2章           2023.1.22

西澤 正文

 イエスの誕生は、天使が夢の中にヨセフに現れて実現しました。「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」(1:20)

 さらに再びヨセフは、夢の中で天使から言われました。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」(2:13)

 この声を聴いたヨセフは、天使から言われた通り「夜の間に幼な子とその母とを連れてエジプトへ行き、ヘロデが死ぬまでそこにいた。」(2:14) 嘗て、ヨセフはマリアと婚約中、聖霊によりマリアが身ごもっていることを知り、表ざたになる事を望まず、こっそり婚約を破棄し 

ようと考えるほど、正しい人でした。このヨセフの素直で実直な性格故に、天使から言われるま

 

 

ま、夜にもかかわらず幼子イエスを抱え妻・マリアと共に真っ暗な夜道をトボトボとエジプトへ逃避行したのでした。

 その後、三度、天使から「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」と夢で告げられ、幼子を連れ、妻マリアと共にイスラエルに帰られました。幼子と妻と3人でイスラエルからエジプトまで往復する旅路を想像するだけで、その大変さが迫ってきます。

 イエスの父・ヨセフの従順さ、実直さに驚くばかりです。イエスが33年間、生涯を送る間、母・マリアが幾度となく登場しますが、父・ヨセフはこれきりです。

 神は、初めからヨセフの素直な性格を見込まれ、天使の声に従い言われたことを全うされる役目を与えられたのでしょう。ヨセフの苦労があってこそ妻・マリアも子・イエスも生き延びることが出来ました。そのことを思いますと、夢の中で届いた天使の声に従って歩まれたヨセフの素直さは、何物にも代えがたい尊いものであることを教えられます。