詩編85篇             2014.6.1

 テーマ:イスラエルの復旧・復興を願う祈り

 この詩は、ペルシャによりバビロンンがペルシャにより滅ぼされ、そのペルシャ王キュロスが前538年、イスラエルを50年ぶりに帰還させた。帰還後のイスラレルの民が、困難な生活の中で苦しみ、神に国の復旧を求めた祈りである。

 

 1【指揮者によって。コラの子の詩。賛歌。】 2主よ、あなたは御自分の地をお望みになり ヤコブの捕われ人を連れ帰ってくださいました。 3御自分の民の罪を赦し 彼らの咎をすべて覆ってくださいました。〔セラ  4怒りをことごとく取り去り 激しい憤りを静められました。

 主はイスラレルを守ることを思い、捕囚の人々を国へ連れ戻された。人々の罪を赦され、過ちを消してくださった。怒りを静められ、攻め続けられませんでした。

主は主自身が選ばれた民を、また、御心に叶う人を突き放したままにされない。時を見て救いの手を差し出してくださる。 

 

 5わたしたちの救いの神よ わたしたちのもとにお帰りください。わたしたちのための苦悩を静めてください。 6あなたはとこしえにわたしたちを怒り その怒りを代々に及ぼされるのですか。 7再びわたしたちに命を得させ あなたの民があなたによって 喜び祝うようにしてくださらないのですか。 8主よ、慈しみをわたしたちに示し わたしたちをお救いください。主がイスラエルに連れて帰ってくださった。しかしその後の生活が安定せず、主の救済を願う。

民が長くイスラエルの土地を離れている間、周辺国が侵入し荒れ放題であった。街は崩壊したままであり、食料は不足し、治安の悪化は甚だしい。以前の状態には程遠い。一日も早い復旧・復興を願う。いつまで怒っているのですか。あなたの憐み、救いにより、私たちが元気を取り戻し、心からあなたを賛美することができるようにしてください。あなたの愛により、苦しみ続ける私たちを救ってください。

 

 9わたしは神が宣言なさるのを聞きます。主は平和を宣言されます 御自分の民に、主の慈しみに生きる人々に 彼らが愚かなふるまいに戻らないように。 10主を畏れる人に救いは近く 栄光はわたしたちの地にとどまるでしょう。 11慈しみとまことは出会い 正義と平和は口づけし 12まことは地から萌えいで 正義は天から注がれます。

詩人は、困難の中で主の恵みを求め、主が私たちとの和解を、つまり、もう二度と罪を犯させないと告げられた。主の慈しみ=愛、それに応える我々の誠意ある態度が融合し、主の義と我々の主への信頼は一つとなり、地上に生きる我々は天上の主へ、全幅の信頼の思いを伝え、それに応えて天上の主は正しい道を示し導いてくださいます。 

天上に生きる主、地上に生き生活するキリスト者、両者の霊的な交わりは、常に天と地を行き交うのである。

 

 13主は必ず良いものをお与えになり わたしたちの地は実りをもたらします。 14正義は御前を行き 主の進まれる道を備えます。 

人々は主が必ず再び良いもの(恵み)を与えてくださると信じた。「良い贈り物、完全な賜物はみな、上から、光の源である御父から来るのです。」(ヤコブ書1:17)

そして、天からの神の働きかけは、常に我々の前に示され、道しるべとなって歩むことができるのである。

 

まとめとして

キーワードは6節「再び命を得る」である。

・生まれ育った郷里の地を離れ、捕囚の民として遠い異邦の地で望郷の念に駆られながら生活すること50年、この長い年月の空白を埋めたいため、一日も早く以前の生活に戻りたいあまり、主へ復旧・復興を願う焦り、それは理解できるが、それだけでは主の心は動かない、また動かせない。

・この機会を大切にし、どうして捕囚の民となったのか、を反省しなければ、また同じ繰り返しを犯すことになる。犯した罪を自覚すること、反省し悔い改めること、徹底してこのことを主は要求するのである。

・苦しみの中で見えないものが見える。失ったものが取り戻せる。苦しみの生活を通し今本当に必要なことは何か、苦しみの時間の中で徐々に鮮明となる。苦しいことであるが大切である。この苦しみを通し、主の慈しみ、正義の尊さを知り、心から悔い改め、「再び命を得た者」は、今までとは比較できないほど深く、主と交わることができる。