マタイによる福音書-21:1~22       2023.8.27

西澤 正文

テーマ:平和の王・イエスは子ろばに乗ってエルサレムに入られる。

 ここからイエスの受難週(1週間)が始まる。イエスの三十三年間の生涯の内、最後の三年がほとんどこの箇所。最後の一週間が福音書の三分の一を占める。このことは、イエスがこの一週間、イエスの死が緊迫した局面を迎え、弟子たちの注意がここに集中したことを示しています。

 イエスがエルサレムに入るには、自身が逮捕され十字架に登り死ぬという事です。エルサレムはイスラエルの都。群衆から圧倒的な支持を得てのエルサレムに入るイエス。人々は真に平和の王として軍馬にまたがり礼服を着て部下を従え、胸を張って入場するイエスを想像したであろう。

 しかし、イエスは平和の王として来られた。へりくだって、見栄えのない姿でエルサレムに入ることを示そうとされた。イエスはろばに乗って入ることを考えました。

 

 ろばは柔和なる動物で、平和を意味し軛を負うことが特徴。十字架に架けられるためエルサレムに入られるイエスを載せるイメージにぴったりの馬です。

 5節は、ゼカリア書9:9の引用です。「娘シオンよ、大いに踊れ。娘エルサレムよ、歓呼の声をあげよ。見よ、あなたの王が来る。彼は神に従い、勝利を与えられた者。高ぶることなく、ろばに乗って来る。雌ろばの子であるろばに乗って。」

 シオンの娘とはエルサレムの娘であり、エルサレムの娘に言いなさい。あなたの王がお前の所にやって来る。お前の王は柔和な方でろばに乗り、荷を運ぶろばの子ろばに乗って来る。

 最も愚鈍なろばが選ばれるなら、私たちも主の御用に立つ栄誉を担うことができる。だから、たとえ私たちが“ろば”のごとく愚かで鈍くても、嘆く必要はないことを伝えています。

▢むすびとして  

 アシュラムセンター主幹であられた榎本保郎牧師は、「ちいろば」を書かれたこともあり「ちいろば先生」と言われた。そのあとがきの一部を紹介します。

 「私のような者も、キリストの僕とされた日から、身にあまる光栄にひたされ、不思議にみちびかれて現在に至りました。つまり、あの「ちいろば」が味わったであろう喜びと感動が私にもひしひしと伝わって来るのです。この喜びをなんとかして、多くの同胞におつたえしたい、それがこの『ちいろば』を執筆した動機であります」